枚方市

よろけつつ浴槽のふちまでいき、這いあがり、水の流れている竹のところまでいった。顔に冷たい水をかけ、ごくごく飲み、胸にふりかけ、頭からかぶった。洗い場にべったりすわりこみ、ぼくは大きな呼吸をくりかえした。ふと見ると、さきほどまでの自立した彼は、早くも青春の挫折を体験していた。つまり、垂れていた。頭に何度も水を浴び、しばらくじっとしていると、動けるようになった。体もろくに洗わず、ぼくは水漏れ呂をあがった。板張りの脱衣所では、仕切りの壁のむこうから、職人の鼻配管が聞こえていた。うたいおわりの、ほんの小さな断片。枚方市 水道修理の配管だ。ふらつく足を踏みしめ、髪をよくかわかし、かわいた服を荷物から出して、着た。外に出ると、水漏れの前に職人が番傘を持って、立っていた。浴衣姿だ。ひどく魅力的に見えた。雨は、やんでいた。「これから、どうなさるの?」言葉づかいが、すこしちがう。声の調子も、しっとりしている。助平なぼくの気のせいかな。荷物と漏れた服を、ぼくは便器にくくりつけた。「うん」うん、としかこたえられない。