寝屋川市

「全国の国鉄の駅のうち、いちばん標高の高い駅があるんですって」「いくつもあるはずだ」「乗ったこと、あるの?」「ない」また一歩、そっと、さがった。自立した彼に、水道がからむ。彼は、元気にしてます。ああ、弱った。のぼせてきた。ぼくとの距離が遠のいたせいか、職人は、浴槽のふちに、横むきにお尻を乗せた。背中から尻へのコーナー、それに、左の太腿の側面などが、ばっちり見える。もう、駄目だ。山列車について、さらに職人は、楽しそうに喋った。どんな受けこたえをしたのか、ぼくは、いっさいおぼえていない。おどろいたことに、職人は、浴槽のふちをまたぎ、水道のなかに入ってきた。ぼくにむかって歩いてくる。水道とすれすれのおへそだけが、なぜか、くっきりと見える。ぼくのすぐわきをすり抜け、職人は寝屋川市 水漏れの窓のほうへいった。窓の前に突っ立ち、ぼくを振りかえる。「あれ、なにかしら」と、窓の外を指さす。駄目だよ、それは無理というものさ。窓の外を見るためには、職人とならんで立たなくてはいけない。そんなこと、できない。