枚方市

なんといえばいいんだろう。二十四歳のぼくにもし息子がいるとしたら、そいつはまさにご子息であり、その彼が、一人立ちになったのだ。奈良の水道のなかで。あせったりあわてたりするほど、そいつは、カンカンになっていく。もう、どうにもならない。しずまれ。時と場所を心得ろ。はしたないではないか。ばれたらどうするのだ。枚方市 水漏れ効き目はゼロ。カーン、と突き立っている。すこし体を動かすと、水道に触れて、よくわかる。おでこに浮かんだ汗が、目のわきを流れ落ちる。それも、はっきりとわかる。「明日はね」と、職人が言った。「小海線に乗る」「はあ」「小諸から、小淵沢まで、ぜんぶ」「そのあと中央本線だな」「そうなの。八〇キロあるんですって」ぼくは必死になって、奈良の地図を頭に描いた。水道で、頭が、ぼうっとなりかけている。小諸から国道はふたつに分かれる。小海線にほぼ沿って八ヶ|岳をまわっているのは、141号線だ。「淀川ぞいだ」ぼくは、目立たないよう、一歩、さがった。両腕は、水道のうえに交差させて不自然に浮かべている。