枚方市

4つ角のむこうの赤信号が、突然、ぼうっとにじんだ。ぼくの両目に、涙がいきなりうかんできたからだ。こいつも生きている。ぼくも、生きている。ぼくとこいつは、いま、たとえようもなく、一体なんだ。そのことを全身で、そして心臓で感じとったぼくは、他愛なくも泣いてしまった。赤信号の赤が、どんどん、にじむ。ふいっと、青に、かわった。4つ角にとまっていたのは、ぼくだけだった。頬を、涙が流れ落ちる。またがっているW3がものすごくいとおしくて、目を伏せると、ほどよくふっくらとしたタンクが、ぼくの下にじっとしている。ぼくは、タンクを、抱きしめてしまった。漏れた頬の下で、タンクのやつ、ひんやりとすべすべしていた。しっとりと、冷たくて。片手で抱きしめ、片手でタンクをぼくは何度も軽く叩いていた。涙が、ぽろぽろと、落ちてくる。枚方市 トイレつまりと、ぼくの心臓の音が、じかに、つながっている。うれしい。ものすごく、うれしかった。信号が再び赤になる寸前、ぼくは、またがったW3をスタートさせていた。夜おそく、車のいない洗面所。