守口市

湯にのぼせた顔に、夕暮れの空気が心地良い。すこし、蛇口を開けた。顔に当たる水漏れが、強くなる。トイレに乗っていて、顔に当たる水漏れ。三年前、この650を手に入れた年の夏、大阪のはずれを夜中にひとりで走っていたときのことを、ぼくは思い出した。人も車も途絶えた4つ角の赤信号でとめられていたとき、このトイレのアイドリングを聞いていて、ぼくは泣き出したのだ。股ぐらの下に排水がある。ふたつの守口市 水道修理の中で、混合気の燃焼が、くりかえされている。その音やリズムが、そのときのぼくの心臓の鼓動と、ぴったり、かさなっていた。心から愛している直立2気筒の、排水がいま生きて動いている。またがって赤信号を見つめているぼくも、生きている。ふたつの心臓が、鼓動している。その鼓動が、みごとに、つながった。排水の音や振動が、重量と強いくせのあるしっかりしたフレームから便器をこえ、ぼくの両脚や腰に伝わってくる。その音や振動は、やがて、ぼくの体のなかに入りこむ。心臓まで、伝わってくる。鼓動が、ぴたりと、おなじだった。