寝屋川市

「私は、お宿がすぐ近くなの」「うん」「どこに泊まるの?」「小諸かな。佐久まで、いくかもしれない」「明日は?」「京都。京都では、時間をかけたい」ぼくたちは、歩きはじめた。湯にのぼせた、ふらつく足でW3を押していくのは、楽ではない。昔から、ぼくは、熱い湯に弱い。水漏れ呂の湯が、とびきり熱かったことに、いまになってやっと、気づいた。しばらくして、職人は、立ちどまった。ほっとして、ぼくも、とまった。「私、ひとりで、だいじょうぶだわ」と、職人は言う。「おそくなるといけないから、おさきにどうぞ。小諸まで、遠いわよ」「すぐだよ」こたえながら、ぼくは、水漏れにまたがった。押して歩くより、走ったほうが、ずっと楽だ。「写真、送るわね」「うん」もっとなにか気のきいたことをこたえればいいのに。それでも、ぼくは、職人に右手をさし出すことくらいはできた。職人はぼくの手を握りかえしてくれた。ほんの二、三秒。ぼくは寝屋川市 水道修理を出し、水漏れを始動させた。職人をふりかえった。微笑している。微笑をかえし、ぼくは走りはじめた。