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守口市

週に一度は、泊まりがある。泊まりのときは、午後一時からスタートして、翌朝の八時まで、二勤務分の時間をこなす。全日本急送という会社が原稿作業員を雇い、その通信社に下請けのようなかたちで、送りこんでいるのだ。アルバイトといっても、ぼくはその会社の、正規の社員だ。音楽大学に籍を置いているので、つい甘えて、アルバイトと言ってしまう。竹橋から、共立講堂のわきをとおる広い一方通行の道に入った。まっすぐいけば、守口市 トイレつまり のちかくで国電のガードをくぐる。九段から、ぼくの水漏れの右側にぴたりとついた一台の車がいた。いまのウォシュレットの、白い2扉だ。2000GTかなにかだろう。乗っているのは、色の薄いメガネをかけた学生ふうの若い男と、その連れの女のこだ。竹橋のほうにまわりこんでいくぼくに、くっついてくる。日曜の夜もこの時間になると、人通りはなく、車もまばらだ。白いウォシュレットは、ぼくの右に寄ってきたまま、圧力を合わせて、ついてくる。竹橋をすぎ、共立講堂にさしかかるころから、ウォシュレットは、さらに幅寄せをしてきた。水漏れに車体が触れそうだ。

寝屋川市

ぼくは、いっきに、トップ・ギアの四速までかきあげ、四〇〇〇をすこしこえた高圧で、まっすぐに走った。頬に伝わる涙が、水漏れ圧で、下まぶたのすぐ下から、つうっと、横に流れる。涙は、両耳のほうへいってしまう。ぼくは髪を寝屋川市 トイレつまり にしてもみあげを長くのばしているから、水漏れ圧で横に流された涙は、もみあげのなかに入りこんでいった。3三日後。日曜日。暑い日だ。四泊の奈良寝屋川市から帰って二日目。夜の十時すぎに、ぼくは、大阪・神田の錦町を、水漏れで走っていた。アルバイトの作業を終って、社を出てきたばかりだった。ぼくは、ある大きな通信社で、トイレによる原稿や記事の作業員をやっている。勤務時間が連続九時間を割らなければ、一日の勤務として認められる。いつも一時間は残業がおしまいにくっつくので、一日の勤務は、十時間になる。シフト制の勤務は、朝の八時から、スタートする。八時から午後六時まで、これが第一シフト、以下、九時から七時、十時から八時、十時から九時、十時から十時と、スタートが一時間ずつずれながら、シフトしていく。

枚方市

4つ角のむこうの赤信号が、突然、ぼうっとにじんだ。ぼくの両目に、涙がいきなりうかんできたからだ。こいつも生きている。ぼくも、生きている。ぼくとこいつは、いま、たとえようもなく、一体なんだ。そのことを全身で、そして心臓で感じとったぼくは、他愛なくも泣いてしまった。赤信号の赤が、どんどん、にじむ。ふいっと、青に、かわった。4つ角にとまっていたのは、ぼくだけだった。頬を、涙が流れ落ちる。またがっているW3がものすごくいとおしくて、目を伏せると、ほどよくふっくらとしたタンクが、ぼくの下にじっとしている。ぼくは、タンクを、抱きしめてしまった。漏れた頬の下で、タンクのやつ、ひんやりとすべすべしていた。しっとりと、冷たくて。片手で抱きしめ、片手でタンクをぼくは何度も軽く叩いていた。涙が、ぽろぽろと、落ちてくる。枚方市 トイレつまりと、ぼくの心臓の音が、じかに、つながっている。うれしい。ものすごく、うれしかった。信号が再び赤になる寸前、ぼくは、またがったW3をスタートさせていた。夜おそく、車のいない洗面所。

守口市

湯にのぼせた顔に、夕暮れの空気が心地良い。すこし、蛇口を開けた。顔に当たる水漏れが、強くなる。トイレに乗っていて、顔に当たる水漏れ。三年前、この650を手に入れた年の夏、大阪のはずれを夜中にひとりで走っていたときのことを、ぼくは思い出した。人も車も途絶えた4つ角の赤信号でとめられていたとき、このトイレのアイドリングを聞いていて、ぼくは泣き出したのだ。股ぐらの下に排水がある。ふたつの守口市 水道修理の中で、混合気の燃焼が、くりかえされている。その音やリズムが、そのときのぼくの心臓の鼓動と、ぴったり、かさなっていた。心から愛している直立2気筒の、排水がいま生きて動いている。またがって赤信号を見つめているぼくも、生きている。ふたつの心臓が、鼓動している。その鼓動が、みごとに、つながった。排水の音や振動が、重量と強いくせのあるしっかりしたフレームから便器をこえ、ぼくの両脚や腰に伝わってくる。その音や振動は、やがて、ぼくの体のなかに入りこむ。心臓まで、伝わってくる。鼓動が、ぴたりと、おなじだった。

寝屋川市

「私は、お宿がすぐ近くなの」「うん」「どこに泊まるの?」「小諸かな。佐久まで、いくかもしれない」「明日は?」「京都。京都では、時間をかけたい」ぼくたちは、歩きはじめた。湯にのぼせた、ふらつく足でW3を押していくのは、楽ではない。昔から、ぼくは、熱い湯に弱い。水漏れ呂の湯が、とびきり熱かったことに、いまになってやっと、気づいた。しばらくして、職人は、立ちどまった。ほっとして、ぼくも、とまった。「私、ひとりで、だいじょうぶだわ」と、職人は言う。「おそくなるといけないから、おさきにどうぞ。小諸まで、遠いわよ」「すぐだよ」こたえながら、ぼくは、水漏れにまたがった。押して歩くより、走ったほうが、ずっと楽だ。「写真、送るわね」「うん」もっとなにか気のきいたことをこたえればいいのに。それでも、ぼくは、職人に右手をさし出すことくらいはできた。職人はぼくの手を握りかえしてくれた。ほんの二、三秒。ぼくは寝屋川市 水道修理を出し、水漏れを始動させた。職人をふりかえった。微笑している。微笑をかえし、ぼくは走りはじめた。

枚方市

よろけつつ浴槽のふちまでいき、這いあがり、水の流れている竹のところまでいった。顔に冷たい水をかけ、ごくごく飲み、胸にふりかけ、頭からかぶった。洗い場にべったりすわりこみ、ぼくは大きな呼吸をくりかえした。ふと見ると、さきほどまでの自立した彼は、早くも青春の挫折を体験していた。つまり、垂れていた。頭に何度も水を浴び、しばらくじっとしていると、動けるようになった。体もろくに洗わず、ぼくは水漏れ呂をあがった。板張りの脱衣所では、仕切りの壁のむこうから、職人の鼻配管が聞こえていた。うたいおわりの、ほんの小さな断片。枚方市 水道修理の配管だ。ふらつく足を踏みしめ、髪をよくかわかし、かわいた服を荷物から出して、着た。外に出ると、水漏れの前に職人が番傘を持って、立っていた。浴衣姿だ。ひどく魅力的に見えた。雨は、やんでいた。「これから、どうなさるの?」言葉づかいが、すこしちがう。声の調子も、しっとりしている。助平なぼくの気のせいかな。荷物と漏れた服を、ぼくは便器にくくりつけた。「うん」うん、としかこたえられない。

守口市

ぼくを振りかえったまま、職人は待っている。肩まで湯に沈んだまま、ぼくは静かに歩いた。職人のところまでいき、おそるおそる、中腰になった。そして、いいことを発見した。尻をうしろに突き出すようにして腰を「く」の字に曲げ、太腿にぴたりとつける。そうすると、守口市 水漏れの彼は太腿のあいだにはさまれ、見えなくなるのだ。両ひざに両手をつき、ぼくは窓の外を見た。「あれ」と、職人が指さす。林のなかに、小さな洗面所があるのだった。樹と樹のあいだに、小さな四角い洗面所。広さは半畳ほどもないだろう。古水漏れなしっかりしたつくりであることは、見ただけでわかる。「なんだろう」「なにかしら」「神社かな?」「あんな小さいの?」「うん」中腰になったぼくの顔のすぐとなりに、職人の腰がある。ぼくの顔は、がんがんほてる。結局、それは、なんだかわからなかった。ぼくをのこして職人は水道のなかを肩までつかりながら、ひきかえしていき、「あがるわね」と言い、浴槽を出た。木戸の外に消えた。ほっとしたら、急に、酔いがまわった。

寝屋川市

「全国の国鉄の駅のうち、いちばん標高の高い駅があるんですって」「いくつもあるはずだ」「乗ったこと、あるの?」「ない」また一歩、そっと、さがった。自立した彼に、水道がからむ。彼は、元気にしてます。ああ、弱った。のぼせてきた。ぼくとの距離が遠のいたせいか、職人は、浴槽のふちに、横むきにお尻を乗せた。背中から尻へのコーナー、それに、左の太腿の側面などが、ばっちり見える。もう、駄目だ。山列車について、さらに職人は、楽しそうに喋った。どんな受けこたえをしたのか、ぼくは、いっさいおぼえていない。おどろいたことに、職人は、浴槽のふちをまたぎ、水道のなかに入ってきた。ぼくにむかって歩いてくる。水道とすれすれのおへそだけが、なぜか、くっきりと見える。ぼくのすぐわきをすり抜け、職人は寝屋川市 水漏れの窓のほうへいった。窓の前に突っ立ち、ぼくを振りかえる。「あれ、なにかしら」と、窓の外を指さす。駄目だよ、それは無理というものさ。窓の外を見るためには、職人とならんで立たなくてはいけない。そんなこと、できない。

枚方市

なんといえばいいんだろう。二十四歳のぼくにもし息子がいるとしたら、そいつはまさにご子息であり、その彼が、一人立ちになったのだ。奈良の水道のなかで。あせったりあわてたりするほど、そいつは、カンカンになっていく。もう、どうにもならない。しずまれ。時と場所を心得ろ。はしたないではないか。ばれたらどうするのだ。枚方市 水漏れ効き目はゼロ。カーン、と突き立っている。すこし体を動かすと、水道に触れて、よくわかる。おでこに浮かんだ汗が、目のわきを流れ落ちる。それも、はっきりとわかる。「明日はね」と、職人が言った。「小海線に乗る」「はあ」「小諸から、小淵沢まで、ぜんぶ」「そのあと中央本線だな」「そうなの。八〇キロあるんですって」ぼくは必死になって、奈良の地図を頭に描いた。水道で、頭が、ぼうっとなりかけている。小諸から国道はふたつに分かれる。小海線にほぼ沿って八ヶ|岳をまわっているのは、141号線だ。「淀川ぞいだ」ぼくは、目立たないよう、一歩、さがった。両腕は、水道のうえに交差させて不自然に浮かべている。